
A社では全社横断型組織の「環境委員会」が環境に関する基本政策の検討および社内外情報の掌握、環境問題対応の施策の検討を行っている。「安全環境管理部」が、公害防止ならびに地球環境問題、廃棄物および省エネルギー対策を具体的に展開・推進している。
ここでは、ヒアリング調査の結果を中心に、環境保全活動への企業の取り組み姿勢や推進体制について、事例を紹介する。
企業方針の設定:
そこで、企業が全社的方針を設定したり、全社の環境保全への取り組みをまとめたボランタリープランの作成を行っているケースについて以下に示す。
A社の「環境安全基本方針」は
という3項目から構成されている。この基本方針から導かれる行動指針として、以下の各項目についてそれぞれの細かい目標値を定めている。
各工場の情報は、環境管理推進室に集中され、そこから他の工場や事業所に情報を発信することにより、全社的な情報の共有化を図っている。
社内での情報の共有:
緻密な施策展開:
G社の方法は、それぞれの施策が全体に対してどれぐらい寄与するか(どれぐらい重要であるか)を数量化して表すという特徴がある。
G社エンジニアリング部の掲げる全社的目標は「工場の満足」、「従業員の満足」、「顧客の満足」、「社会の満足」で、それぞれの寄与率を5,000、2,000、2,100、900と設定し、合計10,000の寄与率とする。それぞれの目標は、2段階の目標展開により細分化・具体化され、それにつれて寄与率も細かく割り振られて行くが、重要な課題ほど大きな寄与率が与えられる。
第2段階の目標展開で具体的になったそれぞれの課題について、目標を達成するために施策が展開される。施策は、「生産」、「省エネ」、「保全」、「職場環境」、「人材育成と要員計画」、「品質」、「環境保全」、「情報」、及び「広報」の9分野に分かれる。それぞれの施策にはやはり寄与率が配分され、寄与率が高い(重要度が高い)施策が一見してわかり、かつそれが全社の目標の達成に対してどれだけの寄与率を持つかが判断できるシステムになっている。
この方法の特徴は「全社目標」という抽象的・理念的・長期的な目標を、「施策」という具体的・実践的・短期的な目標に段階的に展開する際に、「寄与率」という具体的数値を媒介させることである。これによってそれぞれの施策がどの部分にどれだけ寄与することができるかを判断でき、緻密かつ系統だった生産管理が可能になる。
目標展開図は工場の各部課に掲示される。目標展開図には各施策の担当者を表示する欄が設けられており、誰が担当者であるかが、一目でわかるよう工夫されている。
- (1)廃棄物削減活動マニュアル〈化学製品製造業A社〉
- A社のマニュアルでは、廃棄物削減活動は、まず廃棄物削減活動の方針を明確にし、重要実施項目を確認した上で、目標値を設定して全員参加の合意をとることに始まる。その後「1ステップ」で工程ごとの廃棄物の実態を把握し、「2ステップ」で削減のアイディアやテーマの整理と役割分担を決定し、「3ステップ」では削減効果を把握して、効果を維持するための対策を考える。3ステップでさらに課題が残された場合は、もう一度その課題で「1ステップ」に立ち戻る。さらに「4ステップ」ではリサイクル技術の開発や新規生産技術の開発を行い、「5ステップ」で改善効果を把握し、その結果を維持するために日常的な管理を行う。課題が残ればまた「1ステップ」にもどる(下図)。これらのステップごとに、詳細なマニュアルを作成している。
このようなマニュアルを作成することで全社的に情報が行き渡り、どの部課や工場においても同じ水準の廃棄物削減活動が可能になる。
- (1)資材納入業者と協力して廃棄物を減量〈建設業H社〉
- 建設業は、建築現場に多量の資材を搬入するが、その結果膨大な量の使用 済み容器や包装材が発生する。H社では、容器包装材を削減するために資材納入業者に協力を要請し、従来の、資材を単品ごとに段ボール梱包するという方法から、H社自らが開発した搬送ラックを繰り返し使用する方法に切り替えた。さらに、照明器具などは、従来は建築現場に部品を持ち込み、現場で組立を行っていたが、資材納入業者が工場で組み立てを終え、H社が開発した完成品搬入パレットを用いて、完成品を現場へ搬入することとした。その結果、無梱包化が実現し、容器包装廃棄物の大幅削減につながった。
また、ボード類についても、規格サイズのものを現場に搬入し、加工するという従来の方法では、端材が大量に発生するという問題があった。そこで、施工図を早めに作成して建設資材の実寸発注を行い、現場加工を最小限にする手法を取り入れ、廃棄物の発生を減少させた。
H社では、本支店ごとに産業廃棄物適正処理特別委員会を設置し、さらにその下に地元の協力会社と合同で組織する専門委員会を設置して、企業間の連携を保ちながら活動を推進する体制をしいている。
- (2)廃棄物利用の舗装ブロックの試作〈電気機器製造業E社〉
- E社では、大量に発生する半導体封止樹脂屑の有効利用を検討し、自社ビルを建築する際に樹脂屑を再生した化粧ブロックを利用する実験を行った。
建材メーカーに試作を依頼し、性能、機能とも市販の舗装ブロックと比較して問題がないことを確認して施工した。
コスト的に市販のインターロッキングブロックの方が安価であり、廃棄物のリサイクルには課題が多いことを再認識したが、自社の廃棄物の有効利用を考えるきっかけとなった。